正しい判定より
良い試合を
フットサルの魅力を伝えたい

CGFA審判員会フットサル部長
F1級審判員(Fリーグ担当)
柿本 大吾

 フットサルの魅力をひとことで表すなら、「距離の近さ」と「スピード感」、そして「チームの一体感」だと思います。

 選手同士の距離が近いため、瞬時の駆け引きや細かな技術が試されます。パスの受け渡し、シュートのタイミング、守備との読み合い──どのプレーも一瞬で勝敗を左右します。さらに、フットサルは人数が少ない分、1人欠けると大ピンチになり、たとえ1人が非常に上手くても、チームでまとまらなければ勝てません。観客との距離も近く、歓声や息づかいがそのまま伝わり、選手の緊張や喜びをダイレクトに感じることができます。私はその「近さ」と「速さ」、そして「チームで戦う面白さ」にいつも魅了されてきました。

 審判としては、その魅力を最大限に引き出すことを意識し、選手にだまされず、試合の流れを邪魔しないように心がけてきました。

審判を始めた頃は、「その事象はファウルか?」という判断ばかりに意識が向いていました。しかし経験を重ねるうちに、単なる判定ではなく「試合の流れをどう作るか」「フットサルの魅力をどう引き出すか」を考えるようになりました。選手の小さな動きやパスのスピード、守備の瞬間的な駆け引きを感じ取り、試合全体のリズムを意識することで、観客も選手も楽しめる試合運びにつながります。

 10年前、私は中国地域で初めてのフットサル専任の1級審判員となりました。当時、この地域にはFリーグのチームもなく、それまでは専任の1級審判員もいない後進地域でした。さらに、フットサルの審判に関する情報も少ない環境で、全国の審判員と比べて技術や経験の差を痛感し、非常に悔しい思いをしました。だからこそ、「地域を代表する立場として恥ずかしくないように」という強い責任感を持ち、その悔しさをバネに、次の世代に1級審判を生み出す土壌を作ることを自分の使命と感じてきました。現在では、国際審判員として活躍する後輩も誕生し、地域としての成長を誇らしく感じています。

キックオフ前 左から2人目が筆者

 

 また、若いサッカー審判員にも、ぜひフットサルにチャレンジしてほしいと思っています。フットサルは、サッカーよりも展開が速く、11つの事象を瞬時に判断しなければ次のプレーに移ってしまいます。その緊張感と判断の速さは、サッカー審判としてのスキルアップにも必ずつながります。そして何より、若いうちにフットサルを経験することで、Fリーグで笛を吹くチャンス、さらに国際審判員のチャンスも十分にあります。新しいフィールドに一歩踏み出し、審判としての幅を広げてほしい!!そう心から願っています。

 これからも、審判員としての経験を次の世代に伝え、地域のフットサルがさらに発展していくよう、力を尽くしていきたいと思います。

柿本 大吾